小豆粥

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典座ネットブログ2007.1.14の記事

  ここ何日か、味付きのおかゆを各種紹介していますが、修行道場では基本的に平常日は何も具が入っていない白いおかゆ、または玄米のおかゆを食べます。

 そして季節などの節目に当たる日、特別な法要の日、あるいは祖師の命日など、特別な場合に味付き(具入り)のおかゆが設けられます。

修行僧たちにとっても、目先が変わったおかゆは人気が高いようで、建て前としては「修行においては好き嫌いはあってはならぬ。白いおかゆだろうが具入りのおかゆだろうが心を動かすことなく、平常心でありがたくいただくべし」とはいうものの、桶に残ったおかゆの量を見れば一目瞭然で、実際に具入りのおかゆの日は皆が多く食べるためにおかゆが足りなくなることもあるくらいです。

こうした味付きのおかゆは、かなり古くから寺で食べられていたようで、今から1600年ほど前に成立した『十誦律』(じゅうじゅりつ)という書にすでに「八種のおかゆ」が記されているというのですから驚きです。

江戸時代の傑僧、面山瑞方大和尚(めんざんずいほうだいおしょう)は、その八種のおかゆを以下のように解説しています。

「また十誦律に八種粥を挙げたり、三蔵法數にも引く、一に 酥粥は、牛馬等の酥を米粟に和して煮て粥とす、二に油粥は荏麻等の油を米粟に和す、三に胡麻粥は胡麻子を米粟に和す、四に乳粥は牛馬等の乳を米粟に和す、五に小豆粥とは緑豆赤豆を米粟に和す、六に摩沙豆粥は大豆と云う説あり、摩沙は摩訶の轉聲、大と譯す。この大豆を米粟に和す、七に麻子粥は黄麻子を米粟に和す、八に薄粥は、或いは米、或いは粟を煮て稀粥とす、稀は薄き粥を云う」

すなわち、簡単に訳せば、乳から作ったバターのおかゆ、油がゆ、胡麻がゆ、乳がゆ、小豆がゆ、大豆のおかゆ、麻の実のおかゆ、米湯の八種です。

今日はその古くから食べられてきたおかゆの中から、古来小正月に食べられてきた小豆かゆを紹介します。

あす1月15日を「小正月(こしょうがつ)」といいます。古くは、月の満ち欠けを基準にして暦が作られていたため、満月となる1月15日が一年のはじまりだったことに由来します。

年が明けてから忙しく働いた女性をねぎらう意味で、女性にとってようやくゆっくりできるお正月という意味で「女正月」という地域もあるようです。小正月には、古くから一年の豊作や豊漁を祈る生産に関する行事が行われました。たとえば、竹の筒に小豆とお米を入れて火にかけ、炊き具合でその年の稲の具合を占う神事が各地の神社で行われます。

関連して、15日の朝には「小豆かゆ」(あずきがゆ・あずきかゆ)を食べる風習があります。

平安時代の『延喜式』(えんぎしき)にすでに記されており、『土佐日記』や『枕草子』にもその風習が記されています。

以前も12月の冬至に食べる「カボチャのいとこ煮」で紹介したとおり、小豆の色が邪気を払い、まためでたい赤だということで、神仏に捧げられる供物とされてきました。

同様に、1月15日に小豆がゆを食べて一年の無病息災と万福多幸を祈るのです。


精進料理とおかゆ10 小正月に小豆かゆ

1 小豆を大きなスプーン3杯、一晩水に漬けておく。

2 小豆を小鍋に移し、水180cc、酒30cc、みりん15cc、砂糖5cc

しょう油5ccで弱火で20~30分くらい煮る。

3 お米1/4カップ(45cc)をとぎ、水2カップ(360cc)

とともに炊飯器の釜に入れる、30分以上水に漬けてから、

おかゆモードで炊飯器のスイッチを入れる。

4 炊きあがったおかゆに、軽く煮汁を切った小豆を加える。

☆小豆を煮るのが大変な場合は、一晩水に漬けた小豆を炊飯器に入れてお米といっしょに炊いても良いでしょう。ただしその場合は小豆が少々堅くなるので、入れる量を減らして下さい。また、炊き込んだ場合は味があまりしなくなってしまいます。小豆がゆは、多少甘く煮た小豆を加える方が味がよいので、煮るのが大変な場合は、市販の煮小豆のパックを買って混ぜた方が良いかもしれません。

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