「酢の物」は献立を引き締めます。
おかずのうち、組合わせの一例をいえば、一つはメインディッシュ的な濃厚でボリュームあるもの、一つはあっさりしたかるめのものにするように配慮すると栄養的にもバランスが取れ、食べた後の満足度が上がります。
もし揚げものと炒めもの、というように濃い油もののおかずを複数揃えると、食べていて重すぎますし身体への負担も大きくなってしまいます。逆にあっさりしたおかずばかりではものたりません。
おかずを考える際、味の組合わせと調理法をうまく組合わせることが大事です。
精進料理ではそれを「五味五法五色」といい、それをバランス良く考えて献立を立てるのです。
伝統的な一汁三菜献立でいえば主食のご飯と汁、漬物、おかず三品のバランスが大事になりますが、その際加えることをお薦めするのが酢の物で、おかず三品全体をまとめる役割を果たします。あっさりした料理と濃い料理、ご飯それぞれを食べる合間に酢の味が入ると、単調になりがちな野菜の味付けの中でメリハリが出てよい切り替えになるのです。特に夏の時期には酢の物は食欲を刺激しますし、身体が酢を欲しているためおいしく感じることでしょう。
今回は「じゅんさい」を加えましたが、手に入らなければ無理に加えなくても問題ないレシピになっていますので略して下さい。
○夏の涼やか春雨酢の物
１ はるさめ３０ｇをキッチンはさみで半分の長さに切り、ゆでてザルにあげる。
市販の春雨の多くは少し長めになっています。最近はすぐゆでられるように短くカットされたものも売っていますが、少し単価が高くなってしまうようです。長いものをそのままゆでてからあとで切る方法もありますが、大きな鍋が必要になるため、先にキッチンばさみなどで食べやすい長さに切ってからゆでると良いでしょう。ゆで時間は製品によって変わるので説明書きをよく読んで下さい。
２ キュウリ２０ｇを皮のまま細切りにする。
３ 生椎茸２本を細切りにする。
４ 乾黒木クラゲ１ｇをぬるま湯に漬けて戻し、（生キクラゲの場合はそのままで）細切りにする。
５ ショウガ５ｇを針のように細く切り、３分ほど水にさらす。
６ 小鍋で昆布だし１００ｇ、酒大さじ２，みりん大さじ１、砂糖小さじ１／２、しょうゆ小さじ１／２を加熱し、３の生椎茸が柔らかくなるまで３分ほど弱火で煮る。
７ 冷めたら米酢大さじ２を加え、１～５、じゅんさい３０ｇをあえる。
