土鍋仕立ての七草粥

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典座ネットブログ2011.1.6の記事

新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、明日は七草粥を食べて一年の無事と健康を祈る7日人日の節句です。
その意義など例年当ブログで解説しているので略して、今回はどなたでも作れるように詳しい手順とレシピをご紹介したいと思います。

例年七日のニュースなどテレビ番組で七草かゆが季節の風物詩として紹介されます。
今晩も、テレビの天気予報で気象予報士が七草粥を食べて「あまりおいしくないです・・・」みたいなことを言っていました。(そりゃ作り方・食べ方に問題があるのでは???)

みたところ、だいぶできあがってから時間が経ったような感じで映っていました。ついでにさっきみていた私が好きなドラマ「渡る世間は鬼ばかり」でも、お玉に貼り付くほどドロッドロに濃い、お世辞にもあまりおいしそうでないおかゆが映っていました。

最近は自宅でおかゆを作る機会が減っているのも確かです。おかゆの調理に慣れていない若い世代も確かに多いことでしょう。
禅寺では毎朝おかゆを炊いていただくため、おかゆは精進料理の料理人にとって基本中の基本です。
上手に炊いたおかゆは本当においしく、また身体にもよいものです。

作り方がわからない、面倒だ、時間がない・・・。
実際に自分で七草粥を作って一月七日にいただいているという方はそう多くないのかもしれません。
しかしせっかくの伝統行事ですから、今年はちょっとがんばって七草粥に挑戦してみませんか。


まずは材料ですが、七草粥を別々に用意するのは難しいので、このようなセットのパックを利用すると良いでしょう。今の時期だと大きめのスーパーにいけば売っています。


ちなみにこれは明日、寺の新年会で出す七草粥に使う70人分のおかゆのセリ。もし七草が手に入らない場合は、セリだけでも良いと思います。


1人分の場合、お米を100mlとぎます。100mlは1/2カップです。
一番大事なのが、といだお米をざるにあげて15分ほど置くことです。
これによってお米がしっかり吸水し、ふっくらしたほどよい粘度のおかゆができます。


お米を15分放置する間に具を切ります。まず具をよくすすぎ、緑の葉の部分はあまり細かくしすぎないようにザクザクと切ります。
苦いのが嫌いな方は切った葉をしばらく多めの水に浮かべておくと良いでしょう。

すずなとすずしろ(カブと大根)は皮をむいて一口大に切ります。
また、むいた皮を細かく切って加えると、炊く過程で溶けて味がしみ出て、おかゆの風味が増します。


土鍋にお米、水500ml、あら塩少々、切ったすずなとすずしろ(細かく切った分も)を入れてふたをせず強火で炊きます。
今回は、彩りのため人参の細切り10gと、皮をむいたぎんなん5粒をここで加えました。(無くてもいいです)

なおはじめて使う土鍋の場合、濃いめの米のとぎ汁を炊いて沸騰させてから使うことをおすすめします。また、外部が濡れたまま炊くのはやめましょう。


ガスの火力にもよりますが、3~5分で沸騰するので、お玉で軽く底に固まったお米をほぐすように混ぜます。何度も混ぜてはいけません。一度だけ、軽くささっとすませます。
ほぐしたら火を弱火に落とし、コトコトするくらいにして20分ほど炊きます。


20分炊いたら切った葉の部分と、うすくち醤油2.5mlを加えて軽くかき混ぜ(くどいようですがかき混ぜすぎないように)ふたをして3~5分ほど蒸らしてできあがりです。

なお、できあがってすぐに食べるのがおかゆの基本ですが、そうもいかない場合は時間が経って冷めると吸水してしまうので、その分水を増やしてゆるめに炊くと良いでしょう。
その意味で土鍋は保温性が高く、ふたをしておけば食べるまでに少し時間が空いてもふやけにくくておすすめです。

どうです、甘みたっぷりのカブが舌でとろけ、青葉の苦みが食欲をそそります。

◎食材(1人分)
・お米100ml
・七草セット100g(またはセリ30g)
・水500ml
・あらしお少々
・薄口しょうゆ2.5ml
・人参10g
・ぎんなん3~5粒

お正月にごちそうを食べ過ぎて胃に負担がかかり、また寒くて風邪を引きやすい時期に、季節の野菜をたっぷり加えた栄養豊富なおかゆをいただいて、一年の健康と無事を祈る七草粥。

豪華な食事に慣れ、季節感を忘れてしまいがちな現代人にとっては、こうした慎ましい料理をいただいてその意義をしっかりとかみしめ、先人が伝えた伝統のありがたさに思いをはせることが必要ではないでしょうか。
土鍋から湯気が立ち上るおかゆが、身も心も暖めてくれることでしょう。

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