鶯汁、読み方は「ウグイスじる」です。
ウグイスは春告鳥(はるつげどり)と呼ばれるように、「ホーホケキョ」と柔らかな鳴き声で春の訪れを知らせてくれます。その羽の色がオリーブ色っぽい緑色のことから、くすんだ緑色の料理や御菓子には「ウグイス」と名付けることが多いです。エンドウ豆をあんにしたおなじみのウグイスパンなどはそのわかりやすい例ですね。
今回の料理は本来のウグイス色よりも遥かに鮮やかな緑ですが、エンドウ豆を使っていることと、春の風情を盛り込んだ料理のためにウグイス汁と名付けました。
読めばどんな料理かだいたいわかる長いネーミングも良いのですが、こうして短い必要最小限の料理名だといろいろと想像が広がり、夢があると思いませんか。そして実際に口にしてみてどんな料理かはじめてわかるという、日本的な良さがあります。
1 水400mlに干し椎茸1枚、昆布3~5gを5時間ほど浸けて水出し式でダシをとります。(写真は後日紹介する煮物の分などを考えて多めに用意しています)
2 1のダシを鍋に移し、酒大さじ2、しょうゆ小さじ1を加えてアクをとりながら加熱し、3~5分ほどしたら火を止めます。
3 エンドウ豆200gを用意します。生のエンドウ豆を入手し、さやから取り出して使えれば最高なのですが、今回はコスト面を考慮して冷凍ものを使います。生のエンドウ豆が用意できる方はぜひそうして下さい。冷凍物のグリーンピースでも、充分美味しく仕上がりますよ!
4 解凍したグリーンピースに、塩小さじ1/2とタンサン1gを加えてゆでます。タンサンは発色を良くするためと柔らかくするためです。入れすぎると苦くなりますのでご注意下さい。
5 ザルにあげて自然に冷まします。
6 冷めたら裏ごしします。漉し網を木へらに対して斜めにするとなめらかになります。
7 つぶれなくてうまくこせない粒が残るので、包丁で叩いて細かくしてから再度こします。 こんな手間をかけなくてももっと楽な方法もあるのですが・・それは別献立で紹介するとして、和食の基本手順として面倒でも漉し網で裏ごしてみましょう。
8 こした豆と、葛粉大さじ1と1/2、酒大さじ1を鍋に入れ、よく混ぜます。
9 弱火で5~7分ほどよくこねます。少量だと非常に作りにくいのですが鍋を傾けてうまく加熱します。種に粘り気が出るまでしっかりこねます。
10 種を氷水に落として急冷し、3分ほどひたしてかためます。
11 梅干2粒の種をとって包丁で叩いて細かくし、椀に2のダシをはり10のタネを落とした上に梅を載せます。
本くずで練り上げた緑鮮やかなモチモチの種をぜひ味わってみてください。